百四十四話 地球
おもむろに椅子から立ち上がった桃華は、人差し指をビシッとアークに向ける。 「いいかしら。何を勘違いしているか知らないけれど、私たちはたまたまこの世界に迷い込んだ一般人よ。あんな何でもできるような、プ…
おもむろに椅子から立ち上がった桃華は、人差し指をビシッとアークに向ける。 「いいかしら。何を勘違いしているか知らないけれど、私たちはたまたまこの世界に迷い込んだ一般人よ。あんな何でもできるような、プ…
桃華がキャリーバッグから椅子とテーブルを取り出して、管理者の女性に座ってもらった。余程急いでいたのか息を切らした彼女は、ゆっくりと息を整えた。 さらにいつものお茶セットが出てきて、ティーカップにお茶…
目の前に現れた数字の羅列に、篤紫は内心頭を抱えていた。 MMORPGという言葉が出てきた時点で嫌な予感がしていたけれど、実際に自分が『生身のまま』ゲームの世界に来てしまったんだと、しっかりと現実を…
思いの外、鉄扉が重かった。 最初、篤紫だけで押そうとしたらびくともしなかったので、桃華が補助に入り、すぐにヒスイが参加してやっと開けることができた。 何だか嫌な予感がして、ゆっくりと部屋の中に足を…
ゆっくりと、視界が戻ってくる。 篤紫は大きく息を吐いて、地面がしっかりと硬化したことを確認してから立ち上がった。宇宙船『方舟』がダンジョン化した証拠に、全ての壁と床が破壊不可能オブジェクトに変化して…
「懐かしい……街並みね……」「お母様は、この景色を知っているのですか?」「ちょうどね、麗奈の両親……私の妹たちの家があったのが、この辺りなのよ」 そんな他愛のない会話をしながら、懐かしい東京の街を歩い…
それから一ヶ月はあっという間に過ぎた。 ミュシュは順調に回復して、あれからずっと留美、咲良、紅羽の三人に振り回されていた。何故かそこにエルシュまで引きずり込まれて、メルシュ女王が何だか嬉しそうにし…
ルナナリア城の正門脇に停まっている魔神晶石車の、その後ろ側にある開け放たれた扉から、車に乗った兎人たちが次々に中に入っていく。車列は正門の奥に見える街の、ずっと向こうまで長く続いていた。 金色の縁取…
東屋の中は畳が敷かれていて、い草の爽やかな香りが香っていた。部屋の真ん中には円形の座卓が置かれていて、その周りには座布団が敷かれている。 これが月面にあることを考えると、何だかすごい違和感があるんだ…
「それで、ミュシュはどの位で元の姿に戻れるんだ?」「そうですね、半兎人の状態が長かったので、儀式の間で一週間ほど過ごさないといけないかもしれません。 半兎人は過負荷の魔力を全身にくまなく行き渡らせる秘…
「我が国の王子を送り届けていただき、誠にありがとうございます」 俺たちは街を抜けて城の中まで案内された。そのまま、謁見の間まで全員が通された次第で、正直言って現在進行形で面食らっている。 種族や習慣が…
「さあ、行くわよ」 ホワイトケーブは四足走行モードのまま、頭を下にしてほぼ垂直に切り立った自然の岩壁を駆け下りていく。 優秀なのが、下向きに駆けているのに、車内の重力は常に床に向かってかかっていること…
再び四足走行モードになったホワイトケープは、巨大な岩山を駆け抜けながら一路ルナナリアを目指して走っていた。 最初は楽しそうに運転をしていた桃華も、代わり映えのない風景にだんだんと眉が下がってきていた…
篤紫が商館ダンジョンを駆け抜けて、ホワイトケープから外に飛び出した時には、車の側にはヒスイだけしかいなかった。 いや逆か。 どうやらヒスイは珍しく、篤紫から離れていたようだ。 そう言えば調子が悪くな…
人型モードになったホワイトケープは、桃華のイメージに合わせて斜に構えてファイティングポーズを取っていた。 変形したことで、後席に座っていたコマイナが隔離された。扉の左右に外部モニターが着いていたから…