十話 夏梛の帰宅

 原因が分かれば、後は同じ作業を繰り返すだけだ。 さすがに最新鋭の魔道漁船だけあって、錆びていた魔道機関さえ何とかできれば、後は問題なく稼働した。むしろ、壊れる前よりも調子が良くなったという声が多かっ…

九話 奇跡の魔術師

「こちらが、問題になっている船の魔道機関になります」 目の前の錆に覆われた丸い物体に、そっと触れてみる。触る端から錆が崩れていって、手を真っ赤に染めていった。 どうしてこんなになるまで、錆びるに任せて…

八話 船の魔道機関

 その草原エルフの少年は、サラティに近づいていくと、まじめな顔でサラティを覗き込んだ。 「もう少し統治者として、魔王の威厳を醸し出してもらえませんか? 満場一致で任期延長、あなたがあと十年は魔王なので…

七話 この世界の当たり前

 篤紫は店主の手元をじっと見つめた。 ちょうど『i』の文字を書き始める所だった。店主が手に持っている魔道ペンが、『L』の横に、点の部分を描き込む途中で魔道ペンの動きがが止まった。 魔道ペンが輝き始めて…

六話 魔道具の価値

 篤紫と桃華は次の日も、朝から箒作りに精を出していた。 店じまいをして、夜のうちに作っていた箒の魔道具も、開店と同時に全て売れてしまい、あまりの売れ行きに篤紫は思わず首を傾げた。 「なあ桃華。どうして…

五話 箒の魔道具(ピンク)

 マリエルを包み込んでいた光が、ゆっくりと衣装に変わっていく。 篤紫は変身したマリエルを見て、妙に納得してしまった。 そこには真っ赤なイブニングドレスを纏って、髪の色が真っ赤に、巻角の色が緑色に染まっ…

四話 ルルガ鍛冶工房

「ルルガがお茶を出すなんて、イメージにないな」 出されたお茶を飲みながら、篤紫は首を傾げた。 篤紫の対面に座っていたルルガは、カップを持ったまま苦笑いを浮かべた。 「いやキングがよ、進化して魔族になっ…

三話 山へ芝刈りに……?

「いってらっしゃい、気をつけてね」 朝日が昇る前、まだ辺りが薄暗いうちに篤紫は出かけた。店の前で手を振る桃華に手を振り返して、一路国壁を目指す。 国壁にはいつもの門番がいて、ちょうどうたた寝をしている…

二話 隣のタナカさん

『……あ。もしもし、おとうさん? 何ですぐに電話に出ないのよ』 久しぶりに耳にする娘の声は、何だか険のある声だった。 篤紫が開きかけた口のまま次の句が継げないでいると、夏梛の声はさらに険しくなっていく…

一話 白崎魔道具店

「これは、普通にジョイント部分が劣化しただけだな。 少し待っててくれ。これくらいだったら、そんなに時間をかけずに直せると思うよ」 店と呼ぶには閑散とした室内では、男と女、それから客である老紳士がにこや…