百十四話 格の違い
そして、男の動きが停止した。 「これでおおよその、あの男の能力が分かったわね」 などと、隣で手を繋いだままの桃華が言いだした。 正直、何が分かったのかが全く分からない。ただ言えることは、絶対に桃華を…
そして、男の動きが停止した。 「これでおおよその、あの男の能力が分かったわね」 などと、隣で手を繋いだままの桃華が言いだした。 正直、何が分かったのかが全く分からない。ただ言えることは、絶対に桃華を…
桃華がもう一人の女の子の上から、再び氷入りのバケツをひっくり返した。当然ながら同じように目が覚めて……こっちは絶望的な表情で固まっていた。 うん、分かった。こっちが車のバリケードにいた女の子なんだ…
もう一度、いつも通り瞬きをしただけだったと思う。 まるでテレビのチャンネルが切り替わるかのように突然、周りから街の喧噪が聞こえるようになっていた。 車のエンジンの音、街の雑踏。それらが立体駐車場の…
駐車場に入って、そのまま大型複合店舗の立体駐車場上に向かった。 横に見えたどの階にも、やはり一台の車も止まっていなかった。改めてここが無人の街であることを実感する。だとすれば、あの車で作ったバリケー…
中学校の校庭も完全に雑草で埋まっていた。 校庭を覆っていた草を刈って、真ん中に車が停められるだけの空間を確保した。いや、いつも通りヒスイが意を汲んで、先に草を刈ってくれたんだけれどね。 どうも、タワ…
視界を覆っていた白い光りがすっと消えると、どうやら何か暗い場所に出たようだ。ヒスイが前照灯を点けると、そこはどうやら車庫の中に出たようだ。すぐ前にシャッターが下りていた。 扉をくぐるときにそれ程速度…
やがて、透明な緑色だった魔王晶石がゆっくりと変色していった。 緑が徐々に水色に変わっていく。そのまま青色が濃くなっていき、紫色に変わる手前で変色が止まった。 色味としては、群青色と言ったところか。 …
車から降りたところで、目の前の光景に篤紫は思わず肩を落とした。 ちょうどと言うか、車を停めた豪邸のすぐ近くに、件の塔がそびえ立っている。塔から見ても、正面入り口左側にあるこの豪邸は、はっきり言ってや…
そんなわけで、やってきました、アディレイドタワーダンジョン。 何か響きだけ見ると、タワーマンションにも聞こえなくもないけれど、迷宮王国を冠するアディレイド王国で、一番大きいダンジョンになる。 アディ…
お城の車庫を出ると、空には青空が広がっていた。 綺麗に敷かれた石畳をヒスイが運転する魔神晶石車が駆けていく。お城からだと、市街地まで三十分。そこから西にさらに十五分位走ると、やっと国ごと転移した、シ…
「知らない天井だ……」 窓から朝の日差しが差し込んでいる。 天蓋付きベッドの天蓋が思いの外圧迫感があったので、桃華に断りを入れて天蓋を収納してから眠りに就いた、までは覚えている。 さすがに過去にもダン…
魔神晶石車がゆっくりと敷地の道を走り出す。 それに併せて、道の左右に灯っている明かりが後ろに流れていった。 ヒスイが気を利かせて窓を開けてくれた。少し冷たくなった夜の風が車内に流れてきて、火照ってい…
王都を囲む壁の門をくぐると、途端に視界が人で溢れかえった。 通り沿いには色とりどりの屋台が建ち並び、美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。うん、思いっきり生活感と躍動感がある。 「うん、いいわね。やっと人…
「えっと、飲み物はどうやって頼めばいいんだ?」「はい。こちらで注文をいただいて、職員が準備する形式になっています」「あ……そうなんだ。それじゃあ――」 最初、ヒスイも含めて三人で近くのテーブルについた…
『探索者ギルド フォルナイン支部』 押し開きの扉を支えながらここの支部名を見ると、フォルナイン支部と書かれていた。最初は篤紫の手を引いていた桃華は、待ちきれなかったのか少し前に、篤紫の手を払って先に建…