二十五話 謎の光と墜落
再び桃華は、時間を止めた。 ただ、少し前にも時間停止を使っているので、魔力がごっそりと減っている。それほど長い間、時間を止めることはできそうもなかった。 世界が動きを失って、その場で停止した。落下し…
再び桃華は、時間を止めた。 ただ、少し前にも時間停止を使っているので、魔力がごっそりと減っている。それほど長い間、時間を止めることはできそうもなかった。 世界が動きを失って、その場で停止した。落下し…
「きゃあああっ、おとうさんっ」 夏梛が悲鳴を上げていた。目の前で、篤紫が空中に投げ出されたかと思うと、一瞬で後方に消えていった。 桃華は口に両手を当てたまま、目を見開いて絶句した。 翼竜に掴まれた馬…
夏梛は岩壁を通路に加工しながら、ゆっくりと船まで近づいてくると、恐る恐る甲板に足を踏み入れた。 ポカーンと口を開けたまま、氷船を見回すと、一気に顔が喜色一面に変わる。 「お、おとうさんっ、この船って…
メールアプリを起動させて、メールリストの一番上に夏梛からのメールが、新着のポップアップとともに強調されていた。タイトルはない。 篤紫は恐る恐る、夏梛からのメールを開いた。 『おとうさんへ まずは、ご…
呼吸を忘れていたのか、篤紫は息が苦しい事に気がついて、大きく空気を吸い込んだ。肺いっぱいに酸素が供給されて、頭がはっきりとしてきた。 視界が戻ってくると、空中を落下している最中だった。 風が轟々と…
風が唸りを上げて、身体に吹き付けていた。 必死に御者台の取っ手にしがみつきながら、篤紫は顔をゆっくりと動かして天を仰いだ。 巨大な翼竜が、両足で馬車をしっかりと掴んでいる。鋭い爪がついた二本の指が…
それから、つつがなく旅立ちの準備は進んだ。 ルルガに頼んであった魔道馬も、予定よりも一日遅れ程度で完成した。もともと、無理を言ってお願いしてあったため、これでも早く作ってもらえたと思う。 もともと…
キングと妖精クロムを見送った後、ふと思い出して上着の胸ポケットを覗き込んだ。眠りこけていた妖精コマイナを、さすがにキングの家に置いてくるわけにも行かず、ポケットに入れて寝かせてあったんだけど……。 …
基本的にダンジョンコアとダンジョンマスターは一対の存在だ。 今回、サブダンジョンマスターなどと言う、異質な存在があるのにも、やっぱり神晶石が絡んでいるわけで、若干特殊な状況だったりする。 「ここのダ…
魔獣から魔族に変わって、精神的な構造も変化したのだろう。妖精クロムに抱きつかれたキングの緑色の顔が、紫色に変わったかと思うと、立ったまま目を回して気絶してしまった。 腕の中のキングが気絶したことで、…
馬車もどきの走りは、すこぶる快適だった。 御者台の専用シートに座った妖精コマイナが、楽しそうに身体を揺らしている。篤紫が操舵輪を操作している隣では、妖精クロムが翼を小さくたたんで嬉しそうに、姉である…
妖精クロムが誕生したはいいけれど、既に夜も遅かった。妖精クロムには、眠っている妖精コマイナと一緒に、コアルームで寝て貰うことにした。 いつものように桃華がキャリーバッグからベッドを取りだして、真ん中…
妖精コマイナは赤鉄色のダンジョンコアを抱えたまま、ふらふらと机まで飛んで上がると、机の上にそっと抱えていたダンジョンコアを置いた。 コアが転がっていかないように、机を変形させて台を造るのも忘れない。…
たくさんあった料理があらかた終わって、デザートとお茶の時間になった。空いた料理皿を片付けて、魔道台の周りに椅子を出して並べた。 みんなで手分けしてケーキをお皿にのせて、コップにお茶を注ぐ。 そう言…
太陽がゆっくり沈んでいく。 夕焼け空に辺りが優しいオレンジ色に染まる中、家路をゆっくりと歩いていた。 篤紫は思う。できればカレラからもう少し、夏梛の学園の頃の情報を聞き出しておきたい。それに、リメン…