88話 世界の蘇生

「うわああああぁぁ、くっそ楽しいぞおおおぉぉぉ!」 車状態のオルフェナの運転席で、篤紫が子どものように大声を上げてはしゃいでいる。 助手席では、メルフェレアーナが真っ赤な顔で横向きに窓の外を眺めていた…

87話 星の地球儀

 地球儀が回り始めると、空気が柔らかくなった。同時に、静謐な空気も感じられる。『ほお、これは凄いな。なんとなくだが、星の揺れが収まってきておるな。 篤紫よ、これはつまり新しい星と月の石と言うことなのか…

86話 南の魔術塔

 落ちてきた光は、篤紫の手前で何かに当たって弾け散った。そのまま氷の壁をドーム状に抉り溶かす。辺りに水蒸気が一気に充満した。『篤紫、無事かっ? どこだっっ』 飛びかかってきたオルフェナを、尻餅をついて…

85話 新しい力

 ゴブリンのルルガは立ち上がると、体に付いたホコリをはたいて落とした。メルフェレアーナが駆けていた階段を軽く睨むと、桃華のところまで歩み寄ってくる。 ルルガはゴブリンと言っても進化しているのか、容姿が…

84話 緊急事態

 記憶に懐かしい名前に、篤紫と桃華が固まっていると、プチデーモンの少年少女達が次々に意識を戻し始めた。「鳴海麗奈……なのか?」 未だに眠っているメルフェレアーナのそばに膝をついて、篤紫はその顔をじっと…

83話 生存者

 篤紫の撃ち放った弾丸は、上空彼方の天井付近まで飛んでいくと、一閃。一気に厚い雨雲に変わった。 それは瞬く間に町全体の天井に広がっていき、雨となって激しく降り注いだ。 先に外に出ていたみんなが、呆然と…

82話 悪魔の光

 巻角だけが焼滅を免れたようで、プチデーモンの体の部分は触れる端から、崩れて床に薄く広がっていった。 しばらくして落ち着いたメルフェレアーナは、残った巻角を一つずつ、鞄に収納していった。いつも明るく軽…

81話 プチデーモン

 灼熱に沸き立つ海底に一旦下りたコマイナは、北の魔術塔の入り口に合わせて、慎重に水平移動していた。灼熱の海底から、五メートル程上に、入り口が固く口を閉ざしていた。「なあ、メルフェレアーナ。この魔術塔の…

80話 北の魔術塔

 コマイナは北極点に向けて、順調に飛行を続けていた。 ますます激しさを増していく吹雪で、視界は真っ白に染まっていた。と同時に、周りは目映いほどに輝いている。「なあ、コマイナ。何で視界が真っ白なのに、こ…

79話 中庭の果樹園

 正味三日、慌ただしく過ごした霊樹エル・フラウからコマイナに戻って、再び北極点を目指して飛び立った。 北上して北極圏に近づくにつれて、視界が猛吹雪に覆われる時間が多くなっていった。北に進むにしたがって…

78話 メディ・アップルの苗木

 ドライアドが、子ども達と一緒に楽しそうに遊んでいる。 ダンジョンコアの場所を聞いたところ、あっさりと隣の青い樹の中だと教えてくれた。守るべき大切な物じゃないのだろうか? タナカ一家は子ども達を眺めて…

77話 魔獣ドライアド

「あのね、まったく意味がわかんないんだけど」 あれから急いでみんなに話を付けて、青い樹の門の先にある虚に入って、二階層に下りた。 出た先には、一階層と同じ青い樹があって、一階層に戻るための昇りの虚が口…

76話 ダンジョンの青い樹

 桃華と手を繋いだまま、ぼんやりと宴会風景を見ていた。 やっぱりダンジョンの中だけあって、吹いてる風も暖かい。青い樹の葉が風に揺れて、シャラシャラと不思議な葉音たてている。「こんな景色もいいわね」「み…

75話 魔力が足りない

「ん……あ。まぶしいな……」 あれからほぼ徹夜だったため、メディ・アップルがエルフ全員に行き渡ったのを確認した途端に、倒れるように眠ってしまった。 ベッドに横になったまま窓の外に目を向けると、外はしっ…

74話 青いリンゴ(無毒)

 桃華と一緒に応接室に戻ると、メルフェレアーナとエルフの族長は、いまだに苦い顔のまま、頭を抱えて話をしていた。 桃華は小さなため息をつくと、メルフェレアーナの側まで行って、肩を叩いた。「あ、桃華。どう…