12.3話 Summoned demon

「あら、もうこんな時間なのですね。しっかり話し込んでしまいました」 小一時間ほど、対面のソファーで話をした後、フェルネスの合図で私は椅子から立ち上がって、アリアレーゼに手を差し伸べた。そっと、私の手を…

12.2話 Manahuman

 それからはあっという間だった。 陞爵式典の翌日には再び王城からの使者が来て、一週間後に登城すること、その時に棄爵と、第八王女との婚姻が同時に行われる旨が通達された。 一週間の期間には、棄爵に伴い王都…

12.1話 Nobility

『イブキ様、起きてください。本日は陞爵式典ですよ。準備に時間がかかるのです、早く起きてください』 微睡みの中、イブキの意識はゆっくりと浮上していく。「急いで起きてくださいイブキ様。もう既に着付けの準備…

11話 ええっ、また電話が鳴ってるよっ

「お母さん、この先に本当に今夜休めるところがあるの?」「ここの工場の最終的な構造図は見たから、もう少し行けば分かるよ」 廊下を進むと、やがて広い空間に出た。 といっても、まだここは建物の中みたいで、天…

10話 ここかぁ、目的の工場に着いたよっ

 辺りがオレンジ色に染まる頃、木々隙間から徐々に大きな建物が見えてきた。 僕は大きく息を吐くと、ちょっとだけ痛む足をさすった。 トミジ大図書館を出てから、三時間は歩いていると思う。途中で何回か、レイジ…

6話 うわっ、何か獣が襲ってきたよっ

 ゆっくりと、意識が覚醒してくる。 また今日も夢を見ていたような気がするんだけど、それがどんな夢だったのか全く覚えていない。 夢はきっと毎日見ているんだと思う。 思うって言うのは、一ヶ月に一回くらいし…

5.5話 不可逆

 その日は、クラス全員が静かな状態のまま一日過ごした。 さすがに担任や、各教科の先生に気味悪がられたけれど、本人達にしたらあれは完全に日常から突飛した時間だったわけで、奇跡的にいつもの日常に戻って来ら…

5.4話 非日常

「あ、依吹君。気が付いた……よかった」 気が付くと、知らない天井だった。 いや普段目にしていなかったけれど、視界に入っているのはいつも授業を受けている教室の天井なのか。そうか、あのあと俺はそのまま意識…

5.3話 想定外

「すまん、樹生……」『なあに、いいってことよ。おおかた、志織ちゃんから電話がかかってきてたんだろうよ』「うぐっ……な、なぜそれを」 樹生から電話がかかってきた時に、咄嗟に電話を切っていて、慌てて電話を…

5.2話 大惨事

 依吹には、正直何が起きたのか理解が追いついていなかった。 同級生である樹生が、目の前で事故に巻き込まれそうになっていて、気が付いたら体が動いていた。 同時に風がまるで手に取るように動いてくれた。 あ…

5.1話 違和感

 目覚まし時計が鳴っている。 俺は、いつも通り手を伸ばして、音の発生源の上側を手で押した。 途端に、音が消えて部屋が静まり返った。 遠くで車のクラクションが鳴る音が聞こえる。『依吹、朝よ。起きなさい!…