12.3話 Summoned demon
「あら、もうこんな時間なのですね。しっかり話し込んでしまいました」 小一時間ほど、対面のソファーで話をした後、フェルネスの合図で私は椅子から立ち上がって、アリアレーゼに手を差し伸べた。そっと、私の手を…
「あら、もうこんな時間なのですね。しっかり話し込んでしまいました」 小一時間ほど、対面のソファーで話をした後、フェルネスの合図で私は椅子から立ち上がって、アリアレーゼに手を差し伸べた。そっと、私の手を…
それからはあっという間だった。 陞爵式典の翌日には再び王城からの使者が来て、一週間後に登城すること、その時に棄爵と、第八王女との婚姻が同時に行われる旨が通達された。 一週間の期間には、棄爵に伴い王都…
『イブキ様、起きてください。本日は陞爵式典ですよ。準備に時間がかかるのです、早く起きてください』 微睡みの中、イブキの意識はゆっくりと浮上していく。「急いで起きてくださいイブキ様。もう既に着付けの準備…
「ねえ駄女神もどき。ぜんぜん話が簡潔じゃないよ」「ええ……」 僕が何だか悩んでいたら、またアンジェリーナがナナナシアに辛辣な言葉を吐いていた。 アンジェリーナって、こんなに口が悪かったのかな。きっと怒…
「お母さん、この先に本当に今夜休めるところがあるの?」「ここの工場の最終的な構造図は見たから、もう少し行けば分かるよ」 廊下を進むと、やがて広い空間に出た。 といっても、まだここは建物の中みたいで、天…
辺りがオレンジ色に染まる頃、木々隙間から徐々に大きな建物が見えてきた。 僕は大きく息を吐くと、ちょっとだけ痛む足をさすった。 トミジ大図書館を出てから、三時間は歩いていると思う。途中で何回か、レイジ…
ゴブリンのメイズについて、受付の少し奥にある階段を上って二階に着いた。 そこは一面に本棚が並んでいた。高さはおよそ三メートル程か、そんな本棚が通路の遙か彼方までぎっしりと立ち並ぶ様は、まさに壮観だっ…
「グギギャッ、トミジ大図書館へようこそいらっしゃいました。 そちらのお二人もトミジ大図書館にご入場でしたら、まずはこちらのカードをお持ちください」 僕の目の前に現れた緑色の肌をした人は、腰のポーチから…
魔力を体に纏う。 実はこれって、もの凄いことなんだよね。 魔法の勉強をしていた時にアンジェリーナが言っていたんだけれど、例えば魔法で炎を作ったとするよね。その魔法の炎は燃やしたい物を普通に燃やすんだ…
ゆっくりと、意識が覚醒してくる。 また今日も夢を見ていたような気がするんだけど、それがどんな夢だったのか全く覚えていない。 夢はきっと毎日見ているんだと思う。 思うって言うのは、一ヶ月に一回くらいし…
その日は、クラス全員が静かな状態のまま一日過ごした。 さすがに担任や、各教科の先生に気味悪がられたけれど、本人達にしたらあれは完全に日常から突飛した時間だったわけで、奇跡的にいつもの日常に戻って来ら…
「あ、依吹君。気が付いた……よかった」 気が付くと、知らない天井だった。 いや普段目にしていなかったけれど、視界に入っているのはいつも授業を受けている教室の天井なのか。そうか、あのあと俺はそのまま意識…
「すまん、樹生……」『なあに、いいってことよ。おおかた、志織ちゃんから電話がかかってきてたんだろうよ』「うぐっ……な、なぜそれを」 樹生から電話がかかってきた時に、咄嗟に電話を切っていて、慌てて電話を…
依吹には、正直何が起きたのか理解が追いついていなかった。 同級生である樹生が、目の前で事故に巻き込まれそうになっていて、気が付いたら体が動いていた。 同時に風がまるで手に取るように動いてくれた。 あ…
目覚まし時計が鳴っている。 俺は、いつも通り手を伸ばして、音の発生源の上側を手で押した。 途端に、音が消えて部屋が静まり返った。 遠くで車のクラクションが鳴る音が聞こえる。『依吹、朝よ。起きなさい!…