三話 事故に巻き込まれて、私は気を失ったわ。
鮮やかだった街路樹の緑が色を失った。 建物も、まだ作りかけの看板でさえ、すべての物の色が抜けていって、かろうじて残った黒によって視界がモノクロに変わる。 風も、光も止まった。 一切の音が消えた。完…
鮮やかだった街路樹の緑が色を失った。 建物も、まだ作りかけの看板でさえ、すべての物の色が抜けていって、かろうじて残った黒によって視界がモノクロに変わる。 風も、光も止まった。 一切の音が消えた。完…
思わず自分の頭に手を伸ばす。 いつもの柔らかい髪。トリートメントが効いているからか、指の通りはサラサラですごく良い手触りがする。今までの私の髪と違うのは、髪の色が金色になったってだけ。だと思っていた…
ゆっくり意識が覚醒してくる。 昨日の仕事の疲れが残っているのかな、ちょっと体が気怠い。それに、さっきまで見ていた不思議な夢をしっかりと覚えている。 夢なんて見るの、久しぶりよね。 そんなことを思い…
地球は太平洋の海底火山噴火で、未曾有の危機に陥っていた。 噴煙は世界の空を全て覆い尽くし、地表は明けることのない暗闇に包まれた。地表に堆く積もった火山灰で植物は枯れ、濁った海は澱み、生き物はその殆ど…
これってきっと、夢なのよね。 少し前に簡易ベッドに横になって目を瞑った。仕事が一段落して疲れていたから、あっという間に睡魔に呑まれたのに、気がついたらここにいた。いいえ違うわね、夢にしてはリアルすぎ…
昇降機に機体ごと乗り込み、ゆっくりと下に降下していく。 程なくして昇降機が止まって、目の前の壁が扉に変わって開いていった。思わず後ろを振り向いてみたけれど、機体の後席に乗ったまま後ろが見えるわけなく…
見上げた空に、普通に翼竜が飛んでいる。 ちょっと前だったらありえない光景にちょっとだけ目眩がする。 地球にいた頃は、太平洋の海底火山から噴き上げた噴煙が上空すべてを覆っていて、昼間でもほぼ暗闇の状…
いつの間にか魔獣で溢れかえったトンネルを、レイジさんが運転する車で進んでいく。 トンネル内は六車線あるから、基本的に出会った魔獣は避けて進んでてるんだけど、やっぱり大きな個体と遭遇した時なんかは避け…
まるでスローモーションのようにゆっくりと振り抜かれる太い腕に、私は目を見開いたまま瞬きすらできなかった。極限の状況で、脳内の時間が引き伸ばされているんだと思う。 「きゃあああぁぁ――」 私の右腕にし…
『おはようございます、先輩。起きていますか?』 扉を叩く音に、眠りから覚めた意識がはっきりしてくる。 眠い目をこすると、目元がパサツイていた。そういえば昨日、イブキからの電話を待っていて、結局電話が来…
「なっ……えっ……?」 咄嗟に呑み込んだ息が止まる。 呼吸の仕方を忘れて、かすれて出た声の後に思いっきりむせた。 イブキは方舟に居ない。 それだけじゃなくて、今イブキがいるのは移民艦だって。 移民…
方舟が墜落してから、三日経った。 あれから一度も、イブキと連絡をとっていない。 忙しくて電話する時間がなかった、ってのは自分に対する言い訳。確かにあの後すぐに、仮設住宅の配電作業には入ったけれど、…
片足が欠けた女性は、ロビーに設置されたベッドに寝かされた。どうやら既に意識がないみたいで、目を瞑ったまま胸だけが上下に動いている。 辺りは迷彩服の人たちの他にも、白衣を着た人たちが慌ただしく駆け回っ…
「わ、私を食べたって、おお、美味しくないわよ?」 ゆっくりと、後退る。 大きな狼。頭の位置が私の頭より高い位置にあるから、必然的に見上げる形になる。その狼の赤い双眸がすっと細められた。 真っ黒な体毛…
とぼとぼと駅に向かって歩く。 あれからしばらく呆然としていたんだけど、途中で気がついた。私は別に今すぐに外に出られなくても、特に問題はないんだって。 仕事場は消滅しちゃったし、肝心の方舟は未知の星…