19話 オーバースペック

「ごめん、ちょっと取り乱しちゃったね」 しばらくして、恥ずかしそうに笑ったアンジェリーナは、その流れで大きなあくびを漏らした。 やっぱりレイジが右手から渡した魔力は相当規格外だったようで、興奮が収まる…

18話 魔力を感じられたなら

 俺のベースは間違いなく人間だと思う。普通にお腹がすくし、動けばちゃんと疲れたりする。 喜怒哀楽もあるから普通に落ち込むし、悲しい時にはちゃんと泣く。嬉しい時には笑顔になるし、ちゃんと笑えているのかな…

17話 アンジェリーナ

 不思議な女性だった。 これまでに見たことがないような美女だった。透き通るような肌に、華奢な体。胸元は……見なかったことにした。 身長はレイジより少し高い程度か。 思わず見とれていたら、首を反対側に傾…

16話 ガンドゥン帝国

 帝都の高い壁が見えてきたところで、レイジは車の進路を横に変えた。 平らに均された土むき出しの道路から、脇の荒れ地に入って、少し進むと大きな岩がいくつもある場所に出た。 そこで車を停めて、大きく息を吐…

15話 災厄をもたらす者

 意識がはっきりとしてきた。 青空が視界に入ってくる。 また……蘇ってしまった。それも恐らく、最悪の形で。 あのまま凶弾に撃たれて仰向けに倒れたのだろう、背中に背負ったリュックサックが潰れていた。相変…

14話 総ギルド長クロード

「まず、俺は試験管の中で産まれたと思うんだ」「……ほぉ、女帝スカーレットのやっていた人体実験は、成功したと言うことか」 クロードの言葉に、レイジは思わず息を呑んでいた。 記憶にあるあの煌びやかに服を着…

13話 もっと強くなりたい

 意識がゆっくりと浮上していく。「ははっ、マジか。相も変わらず全快してるとか、笑えない冗談だな……」 当たり前のように生きている自分に、何だか少し空しさがこみ上げてきた。 さっき意識を手放した場所で、…

12話 暗殺者

 冒険者ギルドを出ると、いつの間にか太陽が真上に昇っていた。 思いの外長い時間、あの部屋で話をしていたらしい。片掛で背負っていたリュックサックを、両肩で背負い直した。 朝、窓から外を見た時には、駐車場…

11話 青龍の鱗

 目を開けると、窓から朝の日差しが差し込んでいた。 昨日はそのまま冒険者ギルドの宿泊施設に泊まった。もともと予定していたとはいえ、空室があるか確認しいなかったので、部屋が確保できたのは運が良かったんだ…

10話 いきなり車両事故

 冒険者ギルドの駐車場に車を停めて、エンジンを止めた。 車両組合の人に言われたとおりボンネットを開けて、魔石を取り出そうとエンジンルームを覗き込んだ時にそれは起きた。 突然『ドカーン』と言う大きな音と…

9話 シンジュク冒険者ギルド西門支部

 入り口に立つと、横開きのドアが自動的に開いた。 途端に中の喧噪が耳に飛び込んできた。思わず自分の口元が緩んだのが分かった。うん、やっぱりここは冒険者ギルドだな。 外観は、三階建ての箱形のビルだった。…

8話 俺は少なくとも剣を振れるらしい

 瓦礫と化した街を、トラックで走り抜けていた。 幸いなことに、トラックが履いているタイヤはかなり丈夫に作られているらしく、道に散らばる瓦礫の上を難なく駆けている。逆に言えば、衝撃は吸収できないようで、…

6話 靴を履くには靴下がいる

 森を抜けた先にあったのは、戸建てが立ち並ぶ住宅街だった。ぐるっと見回すと、大半の家がまるで内部から爆発したかのように崩れていた。 無事な家は、全く無い。 歩きながら、相変わらず足裏に刺さる瓦礫に顔を…

5話 儚い命

 目を開けると、体が揺れていた。 いや、硬い床が背中にあって、その床が路面の凹凸を拾っているようだった。 待て……これはいったい、どういう状況なんだ? 確か崩れた高層住宅の部屋に入って、寝室のベッドに…