4話 文明の痕跡

 しばらく呆然としたあと、俺は立ち上がった。 あいにくと、空は綺麗な青空が広がっていた。太陽が照りつけ、乾いた空気が風に運ばれて流れていく。 運がいいことに、目の前にある瓦礫は熱で溶けていなかった。俺…

3話 全てが失われた都

 俺は地面に腕をついて、ゆっくりと立ち上がった。体からぱらぱらと瓦礫片やガラスが地面に落ちた。 軽く体の表面を払うと、細かい破片が床に散らばった。 血だと思っていたのは、もしかしたら自分が浸かっていた…

2話 廃れ虚ろになった場所

 意識が戻ると、周りが闇に沈んでいた。 相変わらず体は動かない。目だけは、やっぱり普通に動くようだ。ただその目も、今目の前に広がっている真っ暗闇の中では、何も視界に映せなかった。『コポ――』 目の前を…

1話 望まれない生命

 少し先に、大きな塔がそびえ立っていた。 ここは南極。吹雪が視界を真っ白に染めている。 気温は既にマイナス数十度、体は既に感覚が無かった。「……ここが、みんなが言っていた南の魔術塔か……って、うわっ」…

百十九 さよなら日本

 ビルの一室で一晩過ごした後、再びオルフェナに乗って我が家がある長野県に向かった。 途中、名古屋都心の渋滞を避けるために、東海環状自動車道に入って、少しだけ遠回りして中央自動車道に向かう。若干時間がか…

百十八話 魔法の鞄

 果たして集合場所に着くと、忽然と目の前に桃華が顕れた。もう、普通の人間やめちゃったのかな。やり過ぎなんだけど。 当然ながら瑠美、咲良、紅羽の三人は、驚いてその場で飛び上がっていた。「それで篤紫さん、…

百十七話 桃華の爆買い

 再びオルフェナに乗って、下道のまま湖畔の道を北へ走っていく。 走りながら、思いの外琵琶湖が大きいことに驚いた。わざわざ遠回りになるのに湖畔沿いの道を北回りで走り、京都市街に入る頃には三時間近く時間が…

百十六話 運転手は辛いよ

 高速道路を降りても、相変わらず道は混雑していた。 それでもほとんど動かない高速道路とは違って、郊外に向かう道は少しずつだけれど移動していた。 車内には今、運転席に篤紫が座っているだけだった。女子四人…

百十五話 そうだ、京都に行こう

「ふぇっ? こ、ここはいったい何なのですの……?」 大樹ダンジョンに入ると、空気が変わったことが分かったのだろう、着物もどきの女の子が驚いて変な声を出していた。 まあ、驚くよね。 入った途端に、とてつ…

百十四話 格の違い

 そして、男の動きが停止した。「これでおおよその、あの男の能力が分かったわね」 などと、隣で手を繋いだままの桃華が言いだした。 正直、何が分かったのかが全く分からない。ただ言えることは、絶対に桃華を怒…

百十三話 桃華、激しく怒る

 桃華がもう一人の女の子の上から、再び氷入りのバケツをひっくり返した。当然ながら同じように目が覚めて……こっちは絶望的な表情で固まっていた。 うん、分かった。こっちが車のバリケードにいた女の子なんだな…

百十二話 異能持ちの女の子

 もう一度、いつも通り瞬きをしただけだったと思う。 まるでテレビのチャンネルが切り替わるかのように突然、周りから街の喧噪が聞こえるようになっていた。 車のエンジンの音、街の雑踏。それらが立体駐車場の屋…

百十一話 市街地潜入……するの?

 駐車場に入って、そのまま大型複合店舗の立体駐車場上に向かった。 横に見えたどの階にも、やはり一台の車も止まっていなかった。改めてここが無人の街であることを実感する。だとすれば、あの車で作ったバリケー…

百十話 およそ考えられる最悪の事態

 中学校の校庭も完全に雑草で埋まっていた。 校庭を覆っていた草を刈って、真ん中に車が停められるだけの空間を確保した。いや、いつも通りヒスイが意を汲んで、先に草を刈ってくれたんだけれどね。 どうも、タワ…

百九話 日本型のダンジョン?

 視界を覆っていた白い光りがすっと消えると、どうやら何か暗い場所に出たようだ。ヒスイが前照灯を点けると、そこはどうやら車庫の中に出たようだ。すぐ前にシャッターが下りていた。 扉をくぐるときにそれ程速度…