四十九話 白崎魔道具店(パース出張店)

 パース王国をぐるりと囲っている城壁の向こうから、朝日が顔を出してきた。少し肌寒い朝の空気を吸い込んで、篤紫は大きく伸びをした。 さすがに早朝だけあって、目の前の通りは閑散としていた。と言っても、家々…

四十八話 水晶竜

 ガイウスが唖然とする中、動き出した竜の魔晶石は、目を開けた状態でじっと篤紫を見据えた。篤紫は銃口を向けたまま、しばらく睨んでいたものの、大きなため息をついて銃口を外した。 そのまま、ホルスターに格納…

四十七話 初めての魔法

 ガイウスはさっそく、ルーファウスに魔石を取り出すように催促した。渋々と取り出した魔石は、漆黒の魔石だった。「父上、私の魔石に何をするのですか?」「何って、やる事なんて一つしか無いだろう。これからこれ…

四十六話 パース城

「ガイウスさん行っちゃったわね」「新しい物が手に入ると、だいたいみんなあんな感じじゃないかな? 騎士達だって、みんな前方不注意で転けていたし」 机と椅子を桃華のキャリーバッグに収納して、二人で大きく背…

四十五話 魂樹の複製

「魔獣は、基本的に自分たちの領域から出ることは少ないわ」 桃華の言葉に、パース王の顔色が少し青くなった。「もう、何百年も前からドラゴンと戦い続けているそうね」「そうだな。このパース王国の初代が国の礎に…

四十四話 竜の魔晶石

 王城は凄惨な状態だった。 大半の尖塔は半ばから崩れ落ちていた。尖塔の幾つかは城の外まで転がり落ちている。お城の半分はドラゴンが吐いた火球の爆発で、無残にも抉り取られていた。 城門の前も石畳が乱雑に捲…

四十三話 パース王国

「今度は私が報告する順番のようね。 でもその前に、お昼を食べた方がよさそうだわ。みんなで準備しましょう」 残った報告者はシズカ、リメンシャーレの組だけだ。この二人に関しては最初に、上空を飛んでいたドラ…

四十二話 強かな人々

「あんたらが、ドラゴンを倒してくれたのか?」 篤紫が哀愁とともに街を眺めていると、後ろから声かかかった。振り返ると、港に着いたときに船の火を消火していた船員の男がいた。「ああ。おそらくうちの家族が街中…

四十一話 城塞都市とドラゴン

 篤紫は甲板に立って、街の様子を呆然と眺めていた。 何故か旅に出てすぐから、ずっとトラブルが発生している気がする。今も目の前で、街がドラゴンに襲われている。「旅に出ると、やっぱり変身魔道具を使う機会が…

四十話 氷船の形態変化

 空に飛び上がった氷船はあっという間に、距離にして三十キロ近くある半島を飛び越えた。そのまま遙か上空まで、一気に飛び上がる。 再び目の前に、大海原が広がった。「おお、アウスティリア大陸は大きいな。地平…

三十九話 西海岸

 北回りの海路をとったのは、もしかしたら失敗だったのかもしれない。 それにはっきりと気がついたのは、北の海岸沿いを西に向かって、西海岸にさしかかった頃だった。 文明の痕跡が全くない。 拡張収納には食料…

三十八話 アウスティリア大陸

 それから一時間ほど経って、気絶していた面々が起き出してきた。 土下座する勢いで謝り始めた篤紫に、気絶していたみんなが慌てて頭を上げて貰う、などというイベントはあったものの、氷船は再び出航した。 再び…

三十七話 天使コマイナ

 篤紫は自分の背中に魔力を流した。篤紫の背中に大きな翼が広がる。視界の隅で、妖精コマイナが跳ね上がったのが見えた。 その翼から、羽根を一枚引きちぎった。 同時に走った背中の強烈な痛みに、思わず膝をつい…

三十六話 妖精の容態

 朝日に照らされて、綺麗な珊瑚礁が広がっていた。 商館ダンジョンから起き出した篤紫は、氷船の甲板で大きく伸びをしていた。と同時に、軽いため息をついた。 オオエド皇国に行き先をセットしたのもつかの間、案…

三十五話 孤島からの旅立ち

『ふむ、なかなか不思議な出会いをしたのだな』 篤紫は氷船を海に浮かべて出航の準備をしながら、オルフェナにことのあらましを話していた。 空は快晴、絶好の出航日和だ。「流れでミュシュを連れてきたけど、どう…