三十四話 金属生命体

 警戒して、少しの間金属ウサギを観察した。 体が金属質なことに、引っかかりを覚えた。もしこの金属ウサギが液体金属系の生命体だった場合、ここからの反撃も可能だろう。 完全降伏ですら、嘘の可能性もある。 …

三十三話 戦艦の主

 篤紫と桃華は、再び船橋に入り、エントランスに光の玉を浮かべた。 真っ暗だったエントランスが明るくなる。「ところで、篤紫さんはどこに向かうつもりかしら」 ゆっくりと周りを見回していた桃華が、同じように…

三十二話 光線砲撃

「非常に興味深い施設ですね」 先頭を進む篤紫の側に、砲門を調べていたタカヒロが音もなく歩み寄ってきた。篤紫がびっくりして足を止めたため、全員その場に立ち止まることになった。「タカヒロさん、心臓に悪いよ…

三十一話 宇宙戦艦(仮)

 夕焼け空は、あっという間に夜色に変わっていた。島に魔獣がいない事もあり、夕飯は野外で食べることになった。 焚き火だけだと明かりが心許なかったので、明かりの魔道具をいくつか設置した。柔らかい光が、玉石…

三十話 森の遺跡

「これは、酷いな……」 森に入ってすぐに見えた森の中は、酷い有様だった。丈の低い草木は、軒並み踏みつぶされていて、立木の枝も二メートルの高さまでの枝が、全て折り取られていた。 木の幹でさえ、大きく抉ら…

二十九話 着替えの魔道具

「なん……だと……?」 カレラだけでなく、夏梛まで魔道具の個人登録を知らなかった。さすがに自分の実の娘にまで知られていない事で、篤紫は少なからずダメージを受けた。 もう長い間、魔道具屋をやっているけれ…

二十八話 探検に行こう

「こっちはこんな感じだったのよ」 桃華と夏梛の話を聞きながら、篤紫は桃華達が無事だったことに、心から安堵した。 と同時に、変身魔道具で変身した後の神気解放が、本当に危険な物であることも理解した。そもそ…

二十七話 魔獣の大群

「なによ……これ……」 夏梛が漏らした呻くような声に、桃華は慌てて顔を上げて馬車の外を見た。 いつの間にか、周りを大量の魔獣に取り囲まれていた。それも一種類ではなく何種類もの魔獣に。『むっ、どうしたの…

二十六話 夏梛の気持ち

 夏梛が目を開けると、そこには天井が見えた。 知らない天井だった。 今朝馬車に乗って、篤紫の案内で商館ダンジョン部分を案内されたときに、夏梛の部屋だと言われた場所だと思う。「確か私、泣き疲れて寝ちゃっ…

二十五話 謎の光と墜落

 再び桃華は、時間を止めた。 ただ、少し前にも時間停止を使っているので、魔力がごっそりと減っている。それほど長い間、時間を止めることはできそうもなかった。 世界が動きを失って、その場で停止した。落下し…

二十四話 異常事態

「きゃあああっ、おとうさんっ」 夏梛が悲鳴を上げていた。目の前で、篤紫が空中に投げ出されたかと思うと、一瞬で後方に消えていった。 桃華は口に両手を当てたまま、目を見開いて絶句した。 翼竜に掴まれた馬車…

二十三話 孤島上陸

 夏梛は岩壁を通路に加工しながら、ゆっくりと船まで近づいてくると、恐る恐る甲板に足を踏み入れた。 ポカーンと口を開けたまま、氷船を見回すと、一気に顔が喜色一面に変わる。「お、おとうさんっ、この船ってお…

二十二話 氷の船

 メールアプリを起動させて、メールリストの一番上に夏梛からのメールが、新着のポップアップとともに強調されていた。タイトルはない。 篤紫は恐る恐る、夏梛からのメールを開いた。『おとうさんへ まずは、ごめ…

二十一話 絶海

 呼吸を忘れていたのか、篤紫は息が苦しい事に気がついて、大きく空気を吸い込んだ。肺いっぱいに酸素が供給されて、頭がはっきりとしてきた。 視界が戻ってくると、空中を落下している最中だった。 風が轟々と唸…

二十話 ワイバーン

 風が唸りを上げて、身体に吹き付けていた。 必死に御者台の取っ手にしがみつきながら、篤紫は顔をゆっくりと動かして天を仰いだ。 巨大な翼竜が、両足で馬車をしっかりと掴んでいる。鋭い爪がついた二本の指が、…