61話 ゴブリン

 ルルガに先導されて、長い階段を下りていく。 鈍い黒色をした金属質の壁は、階段に入ると壁や天井まで綺麗な平面になっていた。所々光の加減か、虹色に見える。「おかあさん、壁がすっごく綺麗だね」「壁は鉄だっ…

60話 アイアン・ダンジョン

 ダンジョンの前にある門をくぐると、大図書館と同じように体が重くなった。まるで水の中を歩いて進むような、そんな感覚だ。 時間差の調整。確か、そんな説明を受けた気がする。 それだけ、時間の壁は重いのだと…

59話 ピクニック?

 丘に登る草原には、心地よい風が吹いている。気温は高めで、ぽかぽかした春の陽気を思わせる。 拡張収納袋のおかげで荷物は少ないものの、歩くだけでもけっこう汗ばんでくる。 空は相変わらず、突き抜けるような…

58話 管理者権限

 つまり、この子は何も知らないわけね……。 今も呆然と、何かを一生懸命考えている。きっと、この子が紫狐族で人化できた個体の中で、一番若い子だったのでしょうね。 桃華は小さなため息をついた。 ぬるくなっ…

57話 星の巫女

 桃華はじっと、相手の動きを観察していた。 間違いなく神社の主は、この狐耳女なのよね。さっきの狐は、この狐耳女のところに私を案内したかった。 そもそもあの狐、キャーキャー鳴いているだけで、意思疎通がで…

56話 桃華さん迷子になる

 窓から空を見上げると、透き通るような晴れ空だった。 鏡を見ながら、先っぽがちょっと癖毛な髪を梳かした。ドライヤーの代わりに、手から暖かい風を流し込んだ。初歩の生活魔法だ。 今日は絶好の散歩日和、朝か…

55話 銃型魔道具

 シーオマツモ王国の復興の目処が立ったことで、コマイナは再び空の旅人となった。 徐々に小さくなっていくシーオマツモ王国を眺めながら、篤紫はソファーに深く腰を落とした。ずっと張り切って、復興の手伝いをし…

54話 白崎家

 それが夢だと言うことは気がついていた。 自分たちがもう、そこに戻ることができないことも理解していた。 でも今だけは、その夢に醒めてほしくなかった……。「元気な女の子ですよ。おめでとうございます。 母…

53話 都市復興

 朝日が昇った。 コマイナの中から、朝日に照らされるシーオマツモ王国を見ていた。 静まりかえった室内に、つばを飲み込む音が、やけに大きく聞こえる。 シーオマツモ王国のダンジョン化した国壁から、ドーム状…

52話 シーオマツモ王国再生

 コアの世界に移ったときのように、再び原始の音に包まれると、魔導城の最上階に戻っていた。 部屋の真ん中には、コアが二つ並んでいた。 ソウルコアもダンジョンコアも、いまは白く柔らかな光を放っている。見比…

51話 コアの記憶

 優しい音色が鳴り続いていた。 鈴のようなその音は、心の奥にある記憶を呼び覚ます。「あつしくん、おはよう。難しい顔してどうしたの?」 この子は誰だろう。 おかっぱ頭に、クリクリの瞳。無邪気な笑顔で、篤…

50話 ダンジョン……コア?

 そう言えば、この階段は何なのだろうか? 最上階へ続く階段を上りながら、ふと気になってメルフェレアーナに聞いてみた。「え? どちらかというと、ここは非常階段だよ。何回も言っているけど、普段はエレベータ…

49話 夕焼け空

 そっと、地下三階の床に降り立った。 そこは資料や書類を保管する部屋のようだった。天井から生えている長棚に、沢山の書類が保管されていた。 階段は、そのまま折り返して地下四階まで繋がっているようだ。 そ…

48話 上下逆さまの世界

 テーブルの上には、紅茶が入ったカップが並べられ、苺のショートケーキがお皿に乗せられていた。 今日は、同じ紅茶でも種類があるのか、ポットか四つ置かれている。 女性陣が優雅にお茶を楽しんでいるのを見なが…

47話 逆さ魔導城

 何かとても嫌な予感がする。 なぜダンジョンの床から、シャンデリアが生えているのだろう?「レアーナ、ちなみにこのダンジョンって、どういうダンジョンなんだ?」「えっ、確か階段を下りてすぐに扉があって、そ…