11.エルフって森の民族なんだよね、何だかイメージと違うんだけど。side.イブキ
枯れかかっている。 僕が最初に感じた印象は、その一言で表現できるんじゃないかなって思う。 生命力あふれる深緑の森の中にあって、その樹だけは明らかに秋めいていた。『ここには千年ぶりに来たが、樹に一体何…
枯れかかっている。 僕が最初に感じた印象は、その一言で表現できるんじゃないかなって思う。 生命力あふれる深緑の森の中にあって、その樹だけは明らかに秋めいていた。『ここには千年ぶりに来たが、樹に一体何…
おもむろに椅子から立ち上がった桃華は、人差し指をビシッとアークに向ける。「いいかしら。何を勘違いしているか知らないけれど、私たちはたまたまこの世界に迷い込んだ一般人よ。あんな何でもできるような、プレ…
「ねえ、香織……どこまで気がついてる?」「わかんない。でも私たちって小さい頃から一緒だったよね? それこそ琴音とは、保育園からの付き合いなのに、琴音に妹が……鈴音ちゃんがいたって記憶は私にはないのよ……
「う……嘘よ、ね……?」 エレベーターがゆっくりと止まって、扉が開いた。 広々としたエレベーターホールは暗く……なかった。ちょっと待って、ここって確か円形の建物があって、いくつもあった扉がそれぞれの研…
「あれって、ここの下と同じ状況なの……?」「そうだ。たまたまあそこが一番近くに見えるだけで、群れているのはあそこだけではない。トキオシティのあちこちの場所で、ここと同じように無数のモンスターの塊ができ…
黄金色に色づいた稲穂が、風に揺れて波打っている。 車の窓を開けると、草の香りを含んだ風が車内に着込んできて、風に吹かれた私の黒い髪がはためいた。視界を遮ろうとする髪を、咄嗟に手で押さえる。 私たちが…
「まず、世界の生い立ちから説明しますね」「お、生い立ちからなんだ……」 クーラーバッグに座るミリエルに紅茶のペットボトルを手渡して、僕は反対側のクーラーバッグに腰を下ろした。キャップを外して一口飲むと…
意識がゆっくりと戻ってくる。 ゆっくりと瞼を開けると、森の中だった。緑色の葉っぱの隙間から差し込む光が宝石みたいにキラキラ燦めいている。風で大きく枝葉が動くたびに隙間から青空が見えた。 梢が風に揺れ…
桃華がキャリーバッグから椅子とテーブルを取り出して、管理者の女性に座ってもらった。余程急いでいたのか息を切らした彼女は、ゆっくりと息を整えた。 さらにいつものお茶セットが出てきて、ティーカップにお茶…
そして、再び世界に色が戻っていく。 止まっていた時間が動き出して、破壊されていた世界が、何事もなかったかのように修復される。 吹き飛んでいた車が元の場所に戻る。潰された車も、中に乗っている人すらも当…
はっと目を開けると、目に入ってきたのは複雑に絡みついた木の枝に、ポッカリと空いた空間から見える青空だった。枝の先にはたくさんの葉っぱが茂っていて、風で大きく揺れている。 どうやら僕は、ものすごく大き…
大きな台の上に乗っているオークが、アンジェリーナの手によって手際よく部位別に切り分けてられていく。まるで魔法のような光景に、思わず私は見入っていた。 不要な内臓がどんどん脇のバケツに吸い込まれていく…
目の前に現れた数字の羅列に、篤紫は内心頭を抱えていた。 MMORPGという言葉が出てきた時点で嫌な予感がしていたけれど、実際に自分が『生身のまま』ゲームの世界に来てしまったんだと、しっかりと現実を突…
砕け散った暴走トラックが私の目の前で光の粒に変わっていく。 ただその甲斐があってか、黒馬馬車は私達の数メートル先で動きを止めていた。黒馬が口から青い炎を吐き出すたびに、空気がビリビリと震えている。 …
「私の元の体だったアンジェリーナは物語の世界のエルフが大好きでね、同僚に頼んでわざわざ耳を長く整形してもらったんだよ。そこに私が入って、本物のエルフになったって状況だね。まあ、種族的にはエルフじゃなく…