5.1話 違和感
目覚まし時計が鳴っている。 俺は、いつも通り手を伸ばして、音の発生源の上側を手で押した。 途端に、音が消えて部屋が静まり返った。 遠くで車のクラクションが鳴る音が聞こえる。『依吹、朝よ。起きなさい!…
目覚まし時計が鳴っている。 俺は、いつも通り手を伸ばして、音の発生源の上側を手で押した。 途端に、音が消えて部屋が静まり返った。 遠くで車のクラクションが鳴る音が聞こえる。『依吹、朝よ。起きなさい!…
「さすがに意味が分からないから、ちゃんと話をしなきゃ駄目ね」 アンジェリーナからピリピリとした雰囲気が伝わってくる。 僕はアンジェリーナの怒気に気圧されて、そっとレイジの後ろに隠れた。 おもむろにアン…
廃都トミジに到着したのが三時頃だったので、レイジがリュックサックから車を取り出して、野営の準備を始める頃には、もう夕方になっていた。 車のリアゲートを跳ね上げて、そこから斜めにタープを張った。それだ…
草原を抜け、山を越えた先に目的の廃都トミジが見えてきた。 竜峰フジの麓には、大きな壁に外周を一週囲まれた場所があって、すごく広いみたいで遠くの壁は霞んでいて見えなかった。 坂を下り森の中にある道を車…
「うわあああぁぁぁっ」 起き上がろうとして、肩に食い込むシートベルトで僕の動きは止まった。「おう、イブキ。やっと目が覚めたか。いくら起こしても起きなかったから、もう出発しているよ。 っていうか大丈夫か…
「おめでとう。君は大型トラックに轢かれて、異世界転生したよ。やったねっ、パチパチパチパチ」「いや待ってよ、僕そもそも死んでいないよ?」 薄紫色の空間で、僕は長い紫色の髪をした、これまた薄紫色のロングド…
篤紫が商館ダンジョンを駆け抜けて、ホワイトケープから外に飛び出した時には、車の側にはヒスイだけしかいなかった。 いや逆か。 どうやらヒスイは珍しく、篤紫から離れていたようだ。 そう言えば調子が悪くな…
人型モードになったホワイトケープは、桃華のイメージに合わせて斜に構えてファイティングポーズを取っていた。 変形したことで、後席に座っていたコマイナが隔離された。扉の左右に外部モニターが着いていたから…
予定通り五日ほどかかって、それまで徐々に大きくなってきていた月が視界いっぱいにまで大きくなった。 そこまで来てワイバーンは急に減速して、月の手前で一旦停止した。 そんな様子を、昼色を食べながらゆっく…
全員に魔鉄が行き渡った事を確認して、レイジは壁際にあったモニターボードを引っ張ってきた。 ヒスイがサポートで押してくれたので、魔力付与ついでに頭をなでておく。「さて最初に、アクセサリーを作るためだけ…
「篤紫さん、それどういう仕組みになっとるん?」 篤紫の魔道具工房には、なぜか全員が集合していた。 元々ルルガには魔鉄を頼んであったので、いつも通りマリエルとミュシュも付いてきていた。そこまでは想定内だ…
なぜか電話口の向こうでナナナシアが言い淀む。 何か思う所があるのだろう、十数秒ぐらい経ってから遠慮がちに続きをしゃべり始めた。 そんなに、ワイバーンは特殊なのだろうか?『あのね、篤紫君。見てて楽しい…
そして、オレたちは今空を飛んでいた。「なあコマイナ……また、なんだよな」「はい……また、みたいですね」 運転席ではコマイナが頭を抱えている。そんなコマイナに、篤紫は乾いた笑いを送るしかなかった。 ア…
ルルガ鍛冶工房は応接室と作業場、鍛冶場までが一緒の空間に収まっていて、唯一倉庫だけ別棟みたいな状態になっている。 はずだった。 篤紫は目の前、ルルガ鍛冶工房の様子を見て呆気にとられていた。 さっきヒ…
取りあえずヒスイは、篤紫が魔力を補充していれば何とかしばらく大丈夫なので、じっかりと準備をしてその上で出発することにした。 それまでは、瑠美達三人には魔法の練習をしてもらうことにした。 実は三人とも…