30話 生まれた場所へ

 崩れていく塔を眺めていた。 魔素消滅爆弾は、とてつもない大爆発を起こしたらしい。  案の定、レイジは蘇った。 たとえ魔素消滅爆弾であっても、レイジを滅ぼすことはできなかった。 気が付いたらかなり離れ…

29話 南極

 大樹の幹を調べると、木の幹に隠れるように場違いな形のスイッチがあった。 手を伸ばしかけて、その手が止まった。  ただ未だに、心のどこかで迷いがある。 手紙に書かれていたことが、どこまで本当のことなの…

28話 絶望と希望と

 レイジは大きく息を吐いた。 まだ、この男達がやったと決まったわけじゃない。 やったのは魔獣。きっとそうに違いない。 同じ人間なんだ。街を丸ごと侵略し、略奪。命を奪って破壊の限りを尽くす。 間違えても…

27話 キャンベリル王国軍

 城の前で車から降り、階段を上った先にそれはあった。 巨大な城の中央下側が半円状に抉り取られていて、そこに透き通った黄色の巨石が鎮座していた。直径は二十メートルはあるだろうか、歪な卵形の巨大な魔石がこ…

26話 探索者

 呆然と、レイジは立ちすくんでいた。 走って、走り続けて、日が暮れるまで走り続けた。そして次の日も朝から足を回し続けて半日。結局誰もいない事を確認できただけだった。  風化しているものと、風化していな…

25話 魔道帝国アディレイド

「おや、気が付いたのかい。さすがに事故とは言え、女の子のスカートの中をじっくり覗くのは感心しないねぇ」 目を開けると、壁が白い部屋の中だった。天井には照明が少し暗めに点灯されている。 どうやらレイジは…

24話 竜の山

 気が付くと、視界は真っ暗だった。 死してなお、蘇った事だけは理解した。ただ、蘇ったとたんに全身に激痛が走る。腐臭が鼻につく。「…………!!」 灼けた喉で必死に叫ぼうとするも、声にすらならない。 もし…

23話 帰郷と、何度目かの死

 追っ手をまきながら、北に向かっていた進路を何度か変えているうちに、既に自分たちが今いる場所が分からなくなってきていた。 この世界には車はあっても、自動で現在地を教えてくれるような便利な地図は無い。 …

22話 逃避行

「そ、それって……?」「たぶん、大きな都市を一瞬で滅ぼすことが出来る、大量破壊兵器……かな」 もしかしたら、開けてはいけないものを開けてしまったのかも知れない。 戦慄を覚えつつも一旦その部屋の扉を閉め…

21話 禁忌された過去遺産

 結果的に、魔力回路が出来たことで、勝手に放出されていたレイジの魔力が放出されなくなった。 それによって、本来の効果である『魔力を吸う』力が働き始めたのではないか。 二人で検証した結果、そういう結論に…

20話 人間達の罪

 再び車に乗って、昨日から使っている民家の庭先に向かった。 その道中で、アンジェリーナはゆっくりと語り始めた。 「人間達はね、それまでも、もの凄い努力をして、すごく高度な文明を築き上げてきたんだよ。 …

19話 オーバースペック

「ごめん、ちょっと取り乱しちゃったね」 しばらくして、恥ずかしそうに笑ったアンジェリーナは、その流れで大きなあくびを漏らした。 やっぱりレイジが右手から渡した魔力は相当規格外だったようで、興奮が収まる…

18話 魔力を感じられたなら

 俺のベースは間違いなく人間だと思う。普通にお腹がすくし、動けばちゃんと疲れたりする。 喜怒哀楽もあるから普通に落ち込むし、悲しい時にはちゃんと泣く。嬉しい時には笑顔になるし、ちゃんと笑えているのかな…

17話 アンジェリーナ

 不思議な女性だった。 これまでに見たことがないような美女だった。透き通るような肌に、華奢な体。胸元は……見なかったことにした。 身長はレイジより少し高い程度か。 思わず見とれていたら、首を反対側に傾…